じん肺で障害年金は受給できる?認定基準や申請時のポイントを解説
じん肺と診断され、息切れや呼吸困難によって仕事や日常生活に支障が出ている場合、障害年金を受給できるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
じん肺は障害年金の認定対象となる呼吸器疾患の一つですが、病名だけで受給が決まるわけではありません。
胸部X線所見や呼吸機能、日常生活への影響などが総合的に判断されます。
そこで今回は、じん肺による障害年金の認定基準や受給要件、申請時に整理しておきたいポイントを解説します。
じん肺は障害年金の対象になる?
じん肺による呼吸機能の障害
じん肺は、粉じんを長期間吸い込むことで肺の組織に線維化が生じ、呼吸機能に障害を引き起こす病気です。
トンネル工事や鉱山作業、金属の溶接作業など、粉じんが発生する環境での作業が原因となることがあります。
主な症状には、せきやたん、労作時の息切れ、呼吸困難などがあります。
症状が進行すると、短い距離の歩行や階段の昇降でも息苦しくなり、家事や外出が難しくなる場合があります。
日本年金機構の障害認定基準では、じん肺は呼吸器疾患による障害として、病状判定と機能判定の両面から評価されます。
そのため、検査で肺の異常が認められるだけでなく、実際にどの程度の生活上の制限が生じているかも重要です。
また、じん肺は粉じん作業を離れた後も進行することがあるため、退職してから症状が悪化した方も、障害年金の対象となる可能性があります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。
どちらの制度で請求するかは、原則として初診日に加入していた年金制度によって決まります。
初診日が国民年金の加入期間中などにある場合は、障害基礎年金の対象となり、認定される等級は1級または2級です。
一方、初診日が厚生年金の加入期間中にある場合は、障害厚生年金の対象となり、1級から3級までの等級が設けられています。
1級または2級に該当する場合は、原則として障害基礎年金も併せて支給されます。
例えば、粉じん作業に従事していた時期に医療機関を受診した場合と、退職後に初めて受診した場合では、対象となる年金制度が異なる可能性があります。
粉じん作業を行っていた時期だけでなく、実際の受診歴と当時の年金加入状況を照らし合わせる必要があります。
初診日と保険料納付要件
障害年金の請求では、初診日を明らかにすることが重要です。
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日を指します。
じん肺と確定診断された日が、必ずしも初診日になるとは限りません。
以前からせきや息切れなどの症状で受診していた場合は、その診療経過を確認する必要があります。
また、原則として初診日の前日時点で、一定の保険料納付要件を満たしていなければなりません。
具体的には、初診日のある月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上あることが基本です。
一定の条件を満たす場合には、直近1年間に未納期間がないことによる特例もあります。
納付状況に不安がある場合は、請求前に年金記録を確認しておくとよいでしょう。

障害等級は何を基準に判断する
胸部X線所見による病状判定
じん肺の病状判定では、胸部X線所見、呼吸不全の程度、合併症の有無や程度、日常生活の状況などを総合的に評価します。
障害認定基準には、各等級に相当する状態として、次のような例が示されています。
1級は、胸部X線所見がじん肺法の分類の第4型で、大陰影の大きさが片側の肺野の3分の1以上あり、長期にわたる高度の安静と常時の介護を必要とする状態です。
2級は、同様の胸部X線所見があり、日常生活に著しい制限を受ける状態です。
3級は、胸部X線所見が第3型で、労働が制限される、または労働に制限を加える必要がある状態です。
これらは病状判定における例示であり、画像所見だけで等級が決まるものではありません。
じん肺による呼吸不全については、別途、呼吸機能に基づく判定も行われます。
呼吸機能検査と日常生活の状態
機能判定では、主に動脈血ガス分析値や予測肺活量1秒率などの検査結果を参考にします。
動脈血ガス分析は、血液中の酸素や二酸化炭素の状態を調べる検査です。
障害認定基準では、安静時に測定した動脈血酸素分圧を重視しています。
酸素分圧の参考値は、61~70Torrが軽度異常、56~60Torrが中等度異常、55Torr以下が高度異常です。
ただし、検査結果が一定の数値に該当しただけで、障害等級が確定するわけではありません。
実際の認定では、ほかの検査結果や具体的な生活状況も含めて判断されます。
例えば、身の回りのことができず常時介助を必要とする状態と、歩行や身の回りのことはできるものの軽労働が難しい状態では、生活上の制限の程度が異なります。
息切れの強さに加え、どの程度動くと症状が現れるのか、休息や介助がどれほど必要なのかを具体的に把握することが大切です。
じん肺管理区分と在宅酸素療法
じん肺には、じん肺法に基づく管理1から管理4までの管理区分があります。
これは健康診断の結果に基づいて健康管理を行うための区分であり、障害年金の等級とは別のものです。
例えば、管理4と判定されていても、それだけを理由に障害年金の1級や2級に認定されるわけではありません。
また、呼吸機能が低下し、在宅酸素療法を受けている場合には、障害認定基準に特別な取扱いがあります。
常時24時間の在宅酸素療法を行い、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度の場合は、原則として3級と認定されます。
さらに、臨床症状や検査成績、日常生活の状況によっては、上位等級に認定される場合もあります。
在宅酸素療法の開始日が、通常の障害認定日より早い時期の認定日に該当する場合もあるため、治療を開始した時期も確認しておきましょう。

じん肺で障害年金を請求する準備とは?
過去の受診歴と初診日の証明
じん肺の申請では、発症から現在までの経過を整理することが大切です。
特に、長年にわたって症状が進行している場合、最初に受診した医療機関や時期を思い出すことが難しいケースがあります。
まずは、過去に通院した病院、受診時の症状、診断名、勤務状況などを時系列で整理しましょう。
初診の医療機関と現在の医療機関が異なる場合、原則として初診日を証明する受診状況等証明書が必要になります。
当時のカルテが残っていない場合でも、健康診断の記録や紹介状、過去の診断書などが参考資料となる可能性があります。
受診状況等証明書を取得できない場合は、所定の申立書や初診日を確認できる資料によって対応できるか、個別に検討する必要があります。
診断書と生活状況の伝え方
じん肺による障害年金の申請では、一般的に呼吸器疾患の障害用診断書を使用します。
診断書には、傷病名や治療経過のほか、胸部X線所見、換気機能、動脈血ガス分析値、活動能力などを記載する項目があります。
在宅酸素療法を行っている場合には、開始日や施行時間、酸素吸入量なども重要な情報になります。
診断書の作成を依頼する際は、日常生活で困っていることを医師に具体的に伝えましょう。
例えば、入浴時に息切れして休憩が必要になる、買い物へ行く際に付き添いを要する、以前と同じ勤務時間では働けないといった状況です。
また、病歴・就労状況等申立書では、症状の経過や仕事・生活への影響を整理します。
診断書と申立書の内容が実際の状態を適切に反映するよう、普段の困りごとを事前に書き出しておくと役立ちます。
請求時期と専門家への相談
障害年金の請求方法には、障害認定日による請求と事後重症による請求があります。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
その時点で認定基準に該当していた場合は、障害認定日による請求を検討します。
一方、障害認定日時点では症状が軽く、その後に悪化した場合は、事後重症による請求が考えられます。
事後重症請求は原則として65歳の誕生日の前々日までに行う必要があり、認められた場合の支給は請求日の翌月分からです。
なお、仕事が原因のじん肺について労災保険の給付を受けている場合でも、障害年金を請求できる可能性があります。
ただし、同一の傷病について両制度の給付を受ける場合は、労災保険側で支給額の調整が行われることがあります。
湘南・藤沢障害年金サポートでは、初診日や保険料納付要件の確認から、診断書に関する助言、病歴・就労状況等申立書の作成、請求書類の提出まで支援しています。
長期間の受診歴がある方や、呼吸機能の低下によって外出が難しい方も、まずは現在の状況をご相談ください。
当事務所では、ご契約までの相談を無料で受け付けており、電話やメール、LINEなどからお問い合わせいただけます。
まとめ
じん肺は障害年金の対象となる呼吸器疾患の一つです。
受給の判断では、胸部X線所見や呼吸機能検査の結果に加え、仕事や日常生活にどの程度の制限があるかが重要になります。
また、初診日や年金の加入状況、保険料納付要件によって、請求できる制度や必要な手続きが異なります。
湘南・藤沢障害年金サポートでは、じん肺による障害年金の申請について、ご本人の症状や受診歴を踏まえたご相談を承っています。
息切れや呼吸困難によって生活や仕事に支障が出ている場合は、一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。


初めての方へ



