変形性股関節症で障害年金は受けられる?認定のポイントを解説
変形性股関節症による痛みや動かしにくさが強くなり、歩行や仕事、日常生活に支障が出ている方の中には、「この状態で障害年金を申請できるのだろうか」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
人工股関節の手術を受けた方や、これから手術を予定している方にとっても、障害年金の対象になるのかは気になるところです。
変形性股関節症は障害年金の対象となり得ますが、傷病名だけで受給可否や等級が決まるわけではありません。
今回は、変形性股関節症で障害年金を検討するときに知っておきたい認定の考え方、人工関節の扱い、初診日や申請書類のポイントについて解説します。
変形性股関節症は障害年金の対象になる?
傷病名ではなく下肢の障害の程度が判断される
変形性股関節症であっても、障害年金の対象となる可能性があります。
ただし、「変形性股関節症と診断されたから受給できる」という制度ではありません。
障害年金では、股関節を含む下肢の機能がどの程度低下しているのか、日常生活や労働にどのような制限が生じているのかなどが認定基準に基づいて判断されます。
そのため、痛みがあるという事実だけではなく、実際にどの程度動かせるのか、歩行などにどのような支障があるのかを整理することが重要です。
同じ変形性股関節症という傷病名でも症状や生活への影響は一人ひとり異なるため、個別の状態を確認する必要があります。
障害基礎年金と障害厚生年金では等級が異なる
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、原則として障害の原因となった傷病の初診日に加入していた年金制度によって請求する制度が決まります。
障害基礎年金には1級と2級があり、障害厚生年金には1級から3級があります。
たとえば会社員として厚生年金に加入していた期間に初診日がある場合は、障害厚生年金を検討することになります。
一方、国民年金加入中に初診日がある場合は、基本的に障害基礎年金の対象となるため、3級という等級はありません。
変形性股関節症ではこの違いが重要になることがあるため、現在の職業だけではなく、初診日時点の加入状況を確認しておきましょう。
人工股関節に置換した場合には3級の認定基準がある
日本年金機構の障害認定基準では、一下肢の3大関節である股関節、膝関節、足関節のうち1関節以上に人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合、原則として3級として認定する取扱いがあります。
人工股関節への置換もこれに含まれます。
ただし、3級は障害厚生年金に設けられている等級です。
人工股関節に置換したという事実だけで、障害基礎年金を含めて必ず障害年金を受給できるわけではありません。
また、人工関節を挿入置換した後も下肢の障害がさらに重い場合には、実際の機能障害の程度に応じて上位等級が検討されることがあります。
初診日から1年6か月以内に人工関節を挿入置換した場合には、原則的な障害認定日を待たず、その挿入置換日が障害の程度を認定する時期となる取扱いもあります。
手術を受けた時期だけを見るのではなく、初診日からの経過とあわせて確認することが大切です。

障害年金では何を見られるのか
股関節の可動域だけで判断されるわけではない
下肢の障害の認定では、関節の動く範囲である可動域が重要な判断材料になります。
股関節では、主に屈曲と伸展の状態が確認されます。
ただし、可動域の数値だけで認定が決まるわけではありません。
障害認定基準では、筋力のほか、動作の速さや耐久性なども考慮して評価するとされています。
変形性股関節症の場合も、画像上の変形や傷病名だけではなく、実際に下肢をどの程度使用できるのかという視点が大切です。
診察時には、限られた時間の中で普段の生活のすべてを医師に伝えることが難しい場合があります。
どのような動作で支障が出ているのかをあらかじめ整理しておくと、現在の状態を説明しやすくなります。
歩行や階段など日常生活での動作も重要になる
障害認定基準では、下肢障害の日常生活動作として、片足で立つこと、屋内や屋外を歩くこと、立ち上がること、階段を上ること、階段を下りることなどが示されています。
変形性股関節症による影響を考える際には、このような具体的な動作でどの程度困っているかを整理することが重要です。
たとえば、短い距離なら歩けても長距離になると休憩が必要になる、階段では手すりが欠かせない、椅子から立ち上がる際に支えが必要になるといった事情があるかもしれません。
杖などを使用している場合には、その使用状況も含めて普段の生活を具体的に振り返るとよいでしょう。
仕事をしている場合も、単に「働いているから対象外」と考える必要はありません。
どのような仕事内容で、立ち仕事や移動をどの程度制限しているのか、職場からどのような配慮を受けているのかなど、実際の就労状況を整理することがポイントです。
初診日と保険料納付要件も確認が必要
障害の程度とは別に、障害年金では初診日と保険料納付要件も重要です。
初診日とは、原則として障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。
現在通院している病院へ転院した日ではなく、それ以前の医療機関が初診となるケースもあります。
保険料納付要件は、原則として初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間の3分の2以上について保険料が納付または免除されていることが必要です。
一定の条件を満たす場合には、直近1年間に保険料の未納がないことによる特例もあります。
症状が重い場合でも、これらの要件を確認せずに障害の程度だけを検討すると、請求手続きの途中で問題が生じる可能性があります。
まず初診日を整理し、その時点の年金加入状況と納付状況を確認することが重要です。

変形性股関節症の請求で押さえる準備
先天性股関節疾患がある場合は初診日の整理が重要
変形性股関節症の方の中には、臼蓋形成不全など先天性の股関節疾患が背景にある方もいらっしゃいます。
この場合、成人してから変形性股関節症と診断された日だけを見て、初診日を簡単に判断できないことがあります。
日本年金機構には、臼蓋形成不全を含む先天性股関節疾患について、初診日を審査するための専用の調査票があります。
そこでは0歳から20歳までの受診状況や症状の経過、学校での体育の状況などが確認されるほか、手術歴がある場合には手術前のレントゲンフィルムなどが資料となることがあります。
一方で、先天性の要因があるというだけで、必ず出生時が初診日になるわけではありません。
過去の治療歴、症状の経過、成人後の発症状況などによって確認すべき内容が変わるため、ご自身だけで判断せずに経過を整理していくことが大切です。
診断書と申立書には実際の状態を反映させる
障害年金の請求では、医師が作成する診断書が重要な書類となります。
加えて、これまでの病歴や就労状況などを伝える病歴・就労状況等申立書も作成します。
変形性股関節症の場合には、受診や手術の経過だけではなく、症状によって生活がどのように変わったのかを具体的に整理することが大切です。
歩行できる距離、外出の頻度、階段や立ち座りの負担、仕事で困っている動作などを時系列で振り返ると、現在までの経過をまとめやすくなります。
診断書と申立書で実際の状態について大きな食い違いが生じないよう、普段の困りごとを医師へ適切に伝えておくことも重要です。
症状を必要以上に重く表現するのではなく、できることと難しいことを具体的に整理しましょう。
請求できるか迷った段階から相談できる
変形性股関節症の障害年金では、障害の程度だけでなく、人工関節の有無、初診日、当時の年金加入制度、保険料納付状況など複数の要素を確認する必要があります。
特に長期間治療している方や転院を重ねている方、先天性股関節疾患が背景にある方は、何から確認すればよいのか迷いやすいでしょう。
私たち湘南・藤沢障害年金サポートでは、障害年金について電話、メール、LINEなどでご相談を受け付けています。
ご契約までの相談は無料で、初診日や現在の症状、就労状況などを伺いながら、請求を検討するために確認すべきポイントをご案内しています。
「人工股関節にしたが自分は対象になるのか」「昔から股関節が悪く初診日が分からない」といった段階でも、状況を一つずつ整理することができます。
受給可否や等級は最終的な審査によって決まりますが、請求前に必要な情報を整理しておくことで、手続きを進める際の見通しを持ちやすくなります。
まとめ
変形性股関節症は障害年金の対象となり得ますが、傷病名や痛みの有無だけで受給可否が決まるわけではありません。
股関節を含む下肢の機能、歩行や立ち上がり、階段などの日常生活動作、就労への影響などを踏まえて障害の程度が判断されます。
人工股関節への置換には原則3級の認定基準がありますが、3級は障害厚生年金の等級であるため、初診日に加入していた年金制度の確認が欠かせません。
さらに、初診日や保険料納付要件、先天性股関節疾患の有無なども請求を考えるうえで重要です。
変形性股関節症によって生活や仕事に大きな支障があり、障害年金を請求できるのか判断に迷っている場合は、湘南・藤沢障害年金サポートへご相談ください。
現在の状況だけで結論を出すのではなく、これまでの受診歴や生活状況を整理しながら、障害年金の請求を検討していきましょう。


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