摂食障害でも障害年金は受給できる?受給条件と申請のポイントを解説

摂食障害を抱えながらの生活は、心身ともに大きな負担となります。
治療を続けていても、日常生活を送る上で様々な困難に直面し、経済的な不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
こうした状況で、障害年金という制度が、将来の生活を支える一助となるのか、その可能性について関心をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
障害年金は、病気や怪我によって生活や仕事に制限が生じた場合に、国から支給される公的な年金制度です。
摂食障害と障害年金の関係について、詳しく見ていきましょう。

摂食障害で障害年金はもらえるか

原則対象外だが条件次第で受給可能

障害年金の認定基準では、神経症などは原則として認定の対象外とされているためです。
障害年金の国の認定基準では、神経症や人格障害などと同様に、原則として対象外とされているためです。
ただし、病状が「精神病の病態を示している」と判断される場合に限り、例外的に認定の対象となることがあります。
そのため、摂食障害の症状が重く、日常生活に著しい支障をきたしている場合でも、それが精神病としての病態と見なされない限り、障害年金の受給は難しいのが現状です。

併存疾患があれば可能性が高まる

しかし、摂食障害の治療と並行して、うつ病、統合失調症、双極性障害などの精神疾患を併発している場合には、障害年金の対象となる可能性があります。
これらの併存疾患が、日常生活能力にどの程度の影響を与えているかが、認定の重要な判断材料となります。
実際の申請においても、摂食障害のみではなく、併存する精神疾患の症状や日常生活への支障を踏まえて審査されるケースがあります。

精神病の病態と判断されるか

障害年金の審査において、摂食障害が精神病の病態と判断されるかどうかが、受給の鍵となります。
具体的には、摂食障害の症状に加えて、思考や感情、意欲、行動などに著しい制限が生じている状態が、精神病によるものと客観的に認められる必要があります。
単に摂食障害の症状があるだけではなく、それによって日常生活を送ることが困難であると、医師や審査機関に理解してもらうことが不可欠です。

障害年金受給の条件と基準

障害年金における3大要件が大前提

摂食障害の病態や併存疾患の条件を考慮する前に、まずは障害年金という制度自体の基本要件を満たしている必要があります。
要件は主に3つあり、1つ目は障害の原因となった病気で初めて医師の診察を受けた日を証明する「初診日要件」。
2つ目は、初診日の前日時点で、それまでの年金保険料を一定以上納付しているか免除されている「保険料納付要件」。
3つ目は、初診日から1年6ヶ月が経過した「障害認定日」において、国の定める障害状態にあることです。
これらを満たしていなければ、どれだけ症状が重くても受給はできません。

日常生活能力の制限が重要視される

障害年金を受給するための最も重要な基準の一つは、「日常生活能力」の制限の程度です。
これは、食事や身の回りの清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他者との意思疎通といった、日常生活を送る上で必要な能力が、病気によってどの程度制限されているかを評価するものです。
摂食障害の場合、食事や体重に対する極端なこだわりから、栄養状態の悪化、心身の著しい衰弱を引き起こし、結果として日常生活能力が激しく制限されることがあります。
この制限の程度が、障害等級の判断に大きく影響します。

うつ病など併存疾患の認定基準

摂食障害と併存するうつ病などの精神疾患についても、それぞれ認定基準が定められています。
例えば、うつ病の場合、2級の認定基準には「気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの」とあります。
摂食障害そのものの症状だけでなく、併存するうつ病などの症状が、日常生活にどの程度の影響を与えているかが、障害年金の等級(1級〜3級)を決定する上で重視されます。

診断書の記載内容が影響する

障害年金の申請において、主治医が作成する診断書は極めて重要な書類となります。
診断書には、病名だけでなく、病状の経過、現在の症状、そして最も重要な「日常生活能力の程度」や「労働能力の程度」などが詳細に記載されます。
特に、「日常生活能力の判定」や「日常生活能力の程度」に関する項目が、障害等級の判断において重要視されます。
主治医に普段の生活の困難さを正確かつ具体的に記載してもらうことが、適切な申請につながります。

障害年金申請で受給の可能性を高めるには

主治医との連携で診断書を整備する

障害年金の申請において、主治医との良好な連携は非常に重要です。
診断書は、ご自身の病状や日常生活への支障を正確に伝えるための、最も信頼性の高い証拠となります。
申請を検討している旨を主治医に伝え、日常生活における具体的な制限(一人で買い出しに行けない、服薬管理ができないなど)について、普段の診察からしっかり伝えておくことが望ましいです。
病状を正確に把握してもらい、実態に即した診断書を作成してもらうことが大切です。

申請書類の準備が大切

障害年金の申請には、診断書以外にも、病歴・就労状況等申立書や年金手帳など、さまざまな書類が必要です。
これらの書類は、ご自身の病状や生活状況を具体的に伝え、審査機関に理解してもらうための重要な情報源となります。
特に、「病歴・就労状況等申立書」では、発症から現在までの経緯、日常生活における支障、就労状況などを、途中の年月を端折ることなく、分かりやすく記述することが求められます。
全ての必要書類を正確に、漏れなく準備することが、円滑な審査につながります。

専門家への相談を検討する

障害年金の申請手続きは、書類の準備や専門的な知識を要するため、個人で行うことが非常に困難な手続きでもあります。
ご自身だけで進めるのが不安な場合や、過去に不支給になった経験がある場合は、障害年金を専門に扱う社会保険労務士への相談を検討することをお勧めします。
専門家は最新の審査基準に精通しており、申請書類の作成支援や、主治医への状況伝達のアドバイスなど、受給の可能性を高めるための的確なサポートを行ってくれます。

まとめ

摂食障害のみで障害年金を受給することは原則として難しいですが、精神病の病態を示している場合や、うつ病・双極性障害などの併存疾患がある場合には、受給の可能性が出てきます。
重要なのは、病状が日常生活にどれだけの支障を及ぼしているかを、診断書や申立書を通じて正確に伝えることです。

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