障害年金と老齢年金は併給できる?受け取れる条件と注意点を解説!

障害年金と老齢年金、それぞれ人生の様々な局面で支給される公的年金ですが、これらを同時に受け取ることができるのか、疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
公的年金制度は複雑であり、将来の生活設計を考える上で、それぞれの制度への理解を深めることは非常に重要です。
特に、どのタイミングでどの年金を選択すべきかによって、生涯に受け取る金額や手取り額が変わる可能性があるため、正しい知識を持つことが大切です。
今回は、障害年金と老齢年金の併給(両方もらうこと)について、その可能性や条件、注意点を解説します。

障害年金と老齢年金は同時に受け取れるか

原則は「一人一年金」の原則

公的年金には、原則として複数の年金を同時に受給できない「一人一年金」の考え方があります。
同じ人が「障害年金」と「老齢年金」の両方の受給権を持っている場合、基本的にはどちらか一方を選択して受給することになります。
これは、それぞれの年金が「障害による生活支援」と「高齢者の生活保障」という異なる目的で設計されているため、同一の事由に基づく給付の重複を避けるという考え方に基づいています。
そのため、65歳未満の段階では、原則としてどちらか一方のみを選択することになり、両方を同時に満額受給することはできません。

65歳以上なら併給できる組み合わせがある

ただし、65歳以降になるとこの原則が一部緩和され、特定の組み合わせに限り、年金を組み合わせて受給することが認められます。
これは、老齢年金の受給権が発生することにより、制度上「基礎部分」と「厚生部分」を分けて考えることが可能になるためです。
具体的には、以下の3つのパターンから、ご自身にとって最も有利となるものを選択できます。

障害基礎年金 + 障害厚生年金(障害年金をそのまま継続)
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金(老齢年金に切り替え)
障害基礎年金 + 老齢厚生年金(1階部分を障害、2階部分を老齢にする)

※「老齢基礎年金 + 障害厚生年金」という組み合わせは原則として選択できません。

このように、すべての年金を自由に組み合わせられるわけではなく、制度上認められた範囲内での選択となる点が重要です。
なお、これらの選択は自動的に切り替わるものではなく、ご本人による選択手続きが必要となる点にも注意が必要です。

障害年金と老齢年金併給の条件

併給が可能になるのは、主に老齢年金の受給開始年齢である「65歳」に達してからです。

65歳が大きな分岐点

65歳未満で支給される「特別支給の老齢厚生年金」と障害年金については、原則として併給できず、どちらか一方を選択する必要があります。
この段階では「一人一年金」の原則が強く適用されるため、選択の余地は限定されます。
65歳に到達し、本来の老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生したタイミングで、初めて複数の選択肢が生まれます。
このタイミングが、将来の受給方針を決める大きな分岐点となります。

どちらを選択すべきかの判断基準

どの組み合わせを選ぶべきかは、単純な年金額の比較だけで決めるべきではありません。
障害年金には非課税という特徴があります。
一方で、老齢年金は一定額を超えると所得税や住民税の課税対象となります。
そのため、同じ金額であっても、税負担の有無によって実際の手取り額に差が生じる可能性があります。
また、老齢厚生年金を選択した場合には、一定の条件を満たすことで配偶者加給年金が支給されることがあります。
一方で、障害厚生年金(1級または2級)にも配偶者に対する加給年金額があるため、どちらが有利かは個別に検討する必要があります。
さらに、将来の収入見通しや生活費、医療費の負担なども考慮しながら、総合的に判断することが重要です。

障害年金と老齢年金併給時の注意点

併給や選択を行う際には、将来を見据えた慎重な判断が求められます。

税金と手取り額の違いを理解する

障害年金は所得税・住民税ともに非課税である一方、老齢年金は課税対象となる場合があります。
ただし、老齢年金には公的年金等控除があるため、すべてが課税されるわけではなく、所得状況によって税額は変動します。
そのため、単純な受給額ではなく、税引後の手取り額で比較することが重要です。
また、所得額の増減は、介護保険料や医療保険料などにも影響を与える場合があるため、総合的な負担を見て判断する必要があります。

更新手続きの有無

障害年金には、一定期間ごとに障害状態を確認する「更新」があります。
更新の結果、障害の程度が軽くなったと判断されれば、等級が変更されたり、支給が停止されたりする可能性があります。
支給が停止されたりする可能性があります(更新のたびに継続が保証されるものではありません)。
そのため、受給の安定性を重視する場合には、老齢年金へ切り替えるという選択肢も考えられます。
一方で、障害の状態が重く、長期的に継続する見込みがある場合には、非課税である障害年金を維持する方が有利となるケースもあります。

まとめ

障害年金と老齢年金は、原則として同時に受け取ることはできませんが、65歳以降になると一定の条件のもとで組み合わせて受給できる可能性があります。
特に「障害基礎年金 + 老齢厚生年金」といった形での受給は、多くの方にとって重要な選択肢となります。
どの組み合わせが有利かは、年金額だけでなく、税負担や将来の更新リスク、家族構成などを含めて総合的に判断する必要があります。
制度の理解を深め、事前にシミュレーションを行うことで、より納得のいく選択ができるでしょう。

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