大人の発達障害とは?女性に特有の症状はある?【障害年金特化の社労士が解説!】
大人の発達障害とは
発達障害とは、生まれつきの脳の特性です。特定のことには優れた能力を発揮する一方で、ある分野は極端に苦手、といった特徴がみられます。
発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の3つに分類されます。
その中でも最近話題となっているのが、大人の発達障害です。
大人の発達障害は成人してから突然発症するものではありません。大人になるまで発達障害に気付かず、大人になってから診断を受けたり、自覚したりするケースを指します。
特に、進学、就職、転職といった環境の変化の際に自覚する場合が多く、それまでは周囲のサポートによって発達障害の影響がでない、または非常に少ないため、問題視されていなかったのですが、環境の変化でサポートが無くなり、初めて障害に気付くのです。
発達障害の症状
そもそも発達障害の症状はどんなものがあるのでしょうか。
発達障害には大きく3つの種類があり、現れ方や程度には、個人差があります。ひとつの種類だけが現れる人もいれば、複数が重なって現れる人もいます。日常生活や仕事などで支障がない場合もあれば、さまざまな困難を抱えて生きづらさを感じる場合もあります。
また、発達障害は知的障害の併発や、二次障害としてうつ病などの精神疾患を患う場合があります。
◆ADHD(注意欠陥・多動性障害)
集中力が続かない、ものをなくしやすい、期日を守れないなどの「不注意」、落ち着きがない、衝動的な感情や行動を抑えられない、思ったことを口にしてしまうなどの「多動性・衝動性」といった特性があります。
ADHDの特性は小児期から成人期まで続くことが多いですが、大人になるにつれて「多動性・衝動性」は目立たなくなる傾向があります。一方で「不注意」は大人になっても現れやすいと言われています。また、子どもの頃は気付かなかったけれど、職場でミスを繰り返すなど日常生活や社会生活で様々な支障が出てくることにより、大人になってADHDに気付くこともあります。
◆ASD(自閉スペクトラム症)
コミュニケーションの困難さや、こだわりの強さ、興味関心の狭さ、感覚の過敏さなどの特性があります。
親密な付き合いが苦手、会話が一方的、言葉を文字通りに受け取ってしまう、融通が利かないなどの症状がみられます。
◆LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)
知的発達の遅れや視覚・聴覚機能の問題がないにもかかわらず、「読めない」「書けない」「計算できない」「推論できない」といった特定の学習行為が極端に苦手という特性があります。
読むことが苦手な読字障害は「ディスレクシア」、書くことが苦手な書字表出障害は「ディスグラフィア」、数字や計算が難しい算数障害は「ディスカリキュリア」と、タイプによって大きく3つに分類されます。
LD/SLDは知的障害とは異なるため、子どものころは単に「勉強不足」や「努力が足りない」などといわれ見過ごされてしまうこともあります。
発達障害をもつ女性に特有の症状
対人コミュニケーションの障害は一般的に ASD のある男性よりも目立たず、集団生活での適応も他者からは比較的良好なように見えるともいわれています。
一方で、障害が見えにくいのはあくまでも周囲の大人から見て、ということで、自身は周囲とのかかわりに違和感やずれを抱いている場合が多いです。
一般的に、女性同士のかかわりの中では社会性の障害が男性に比べて目立つため、友達同士や同僚との関係に支障が出てしまう方は男性よりも多いかもしれません。
中には、周囲とのかかわりの中で自分と周りの「ずれ」を感じ、「普通の女の子」として周囲に適応しようと非常に気を遣って生活をしている、という方もいます。
ADHD の女性もまた、幼少期は特性や困難に気がつかれないことが多くあります。
なぜならば、ADHD の男性の場合は ADHD の特性の中でも多動性や衝動性が目立ち、女子では不注意系傾向が目立つといわれているからです。
「忘れ物が多い」「指示を忘れてしまう」といった不注意から起こる行動は周囲からは分かりづらく、気づかれにくい傾向があります。
また、多動や衝動性の特徴は、身体の動きに現れることが多いのですが、女性は会話などの言葉に現れることが多く、ADHD の典型的な「じっとしていられない」先入観があると、他の場面で出ている ADHD の特徴に気づかないこともあるでしょう。
発達障害と診断されたらどうすればいい?
実際に病院を受診し、発達障害と診断された場合にどうすればいいのでしょうか。
発達障害について周囲に相談をする、医師から治療や指導を受けるなど、様々な選択肢がありますが、ここでは、国や行政から得られる補助の申請をお勧め・解説します。
精神障害者保健福祉手帳について
発達障害は「精神障害」の一種に分類されます。精神障害者保健福祉手帳を取得することで、公共料金の割引や税金の控除・減免を受けることができます。
詳しくはこちらをご覧ください。
障害年金について
また、発達障害は障害年金の対象傷病です。発達障害のために、働けなくなってしまった・就労はできるもののフルタイムで働くことが厳しいといった事情のある方は経済的な負担を軽減することができます。
障害年金とは
「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が支給される制度です。障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
年金が支給されるには審査のうえ、障害等級に該当していると認定される必要がありますが、年金を請求する(申込む)ことは全国民の権利、誰でも障害年金を請求することが出来ます。基本的には、65歳以前に事故や病気で障害のある状態になり日常生活や仕事が困難になり、生活が立ち行かなくなるのを防ぐための制度です。
障害年金を受給するための条件
障害年金を受給するためには大きく3つの条件を満たしている必要があります。
①「初診日要件」
発達障害で病院を受診しているか、また、初めて受診したのはいつか
②「保険料納付要件」
保険料を一定期間、納めているか
③「障害状態要件」
障害が一定の基準をこえているか
詳しくはこちらをご覧ください。
当事務所での実際の相談事例
当事務所でも何件も発達障害についてのご相談をいただきました。
その中でよくあるご質問はこちらです。
発達障害は知的障害と同じ、20歳前障害ですか?
必ずしも20歳前障害となるわけではありません。
発達障害の場合、初診日は初めて発達障害で病院を受診した時からです。
その初診日が20歳前なら、20歳前障害となり、20歳以降であれば通常の障害年金の申請となります。
一方で、同じく先天的な障害である、知的障害の場合には必ず20歳前障害となり、保険料納付要件などが不要となりますが、「大人の発達障害」の場合には初診日の証明や保険料の納付をしているかが重要です。
働いていても障害年金はもらえるのですか?
障害の状態にもよりますが、働いていても障害年金の受給は可能です。
ですが、働けているといった事情から障害年金の等級が軽くなったり、不支給となってしまう場合もあります。
このような場合には、働けてはいるが、職場からかなりの配慮を受けている・転職などが続いている・うつ病や双極性障害といった二次障害がでている、といった事情があると受給可能性が高まります。
(もちろん、障害の状態によっては、発達障害だけでも受給は可能です。)
発達障害のみの申請と二次障害のある申請とでは違いがあるのですか?
少し前でもお伝えしたとおり、二次障害がある場合には受給可能性が上がることが多いです。
ただ、発達障害の場合には、「出生時の状況」から申請書類に記載が必要となるため、「うつ病の診断を受けた後に、発達障害もあることが判明した」といったケースではうつ病のみの申請とは記載内容が変わってくるため注意が必要です。
また、知的障害と発達障害のどちらの障害もある場合には、20歳前障害となりますので、初診日が20歳を過ぎていても障害基礎年金となる・保険料納付要件を満たしていなくてもよいなど発達障害のみの申請とは異なってきます。
詳しくは当事務所にご相談ください。
障害年金は女性社労士にご相談ください
障害年金は障害をもつ方にとって、経済的な補助を得られる、非常に重要な制度です。
一方で、申請までの手続きや必要な書類はとても複雑でわかりにくい制度でもあります。
そこで、当事務所では無料で障害年金に関する相談を受け付けています。
また、ご自身での申請が難しい場合には有料での申請サポートも行っております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
また、当事務所では障害年金に特化した女性社労士がご相談を担当しております。
身の回りの状況やどのような生活をしているかなど、プライベートな内容のご相談を受けることもございますので、同性の方が話しやすいといったこともあるかと思います。
そのような場合には当事務所をご活用ください。