難病で障害者手帳を認定受けるには?対象疾患から申請準備まで

慢性的な病状と向き合いながら日々を過ごされている方々にとって、その生活は想像以上に多くの困難を伴うことでしょう。 時に、周囲の理解を得られにくい症状や、将来への漠然とした不安に直面することもあるかもしれません。 しかし、そうした困難を少しでも和らげ、生活をより豊かにするための支援制度が存在します。 特に、障害者手帳は、医療費の助成、公共交通機関の割引、税の優遇など、多岐にわたるサポートを受けるための大切な一歩となり得ます。 あなたの抱える病気が、この制度の対象となるのか、どのような準備が必要なのか、その疑問を解消し、安心して次の一歩を踏み出せるよう、具体的な情報を提供いたします。

難病でも障害者手帳の認定は可能

難病でも障害者手帳の対象となる

難病と診断されたからといって、障害者手帳の取得が不可能というわけではありません。 難病による「特定医療費(指定難病)受給者証」の制度はありますが、これは障害者手帳とは異なり、医療費助成を目的としています。障害者手帳は、難病によって引き起こされる身体的または精神的な機能障害が、既存の障害者手帳制度の認定基準に合致すれば、その対象となり得ます。 多くの難病は進行性であり、治療によって症状の改善が見られたとしても、日常生活における支障が残るケースが少なくないため、現在の症状や生活状況を詳細に評価することが重要です。

身体・精神・知的のいずれかの障害に該当する必要がある

障害者手帳は、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(知的障害者手帳)の3種類に大別されます。 難病によって引き起こされる症状が、これらのいずれかの障害に該当すると判断された場合に、手帳の交付対象となります。 例えば、神経難病によって歩行や平衡機能に重度の障害が生じた場合は身体障害、慢性的な疼痛や疲労が原因でうつ病や不安障害を併発し、日常生活に大きな支障をきたしている場合は精神障害として評価される可能性があります。 大切なのは、病名だけでなく、その病気があなたの身体や精神にどのような機能的な制限を与え、具体的な生活動作にどれほどの困難をもたらしているかという点にあります。

対象疾病リストは手帳の基準ではない

障害者総合支援法の対象疾病リストは、難病と支援制度の関連性を探る上で参考になるものですが、障害者手帳の認定基準とは直接関係していません。
このリストに掲載されている疾病は、国の難病対策や障害福祉サービス(自立支援給付)を利用できる可能性を示すものです。ただし、リストに載っているからといって、必ずしも障害者手帳が交付されるわけではありません。
手帳の認定は、個々の疾病が引き起こす具体的な機能障害や生活への支障の程度に基づき、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳それぞれの認定基準に照らして判断されます。そのため、対象疾病に該当する=手帳が取得しやすい、という意味ではありませんが、その疾病が原因で生じる機能障害が手帳の認定基準を満たす可能性があるかどうかを検討する目安にはなり得ます。

障害者手帳の認定基準はどこを見ればよいのか?

身体障害者手帳の認定基準は細かく定められている

身体障害者手帳の認定基準は、身体障害者福祉法に基づいて詳細に定められており、障害の種類(視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、免疫機能など)ごとに、具体的な機能障害の程度が等級表として示されています。 難病の場合、その疾患がどの身体機能に影響を及ぼし、それが等級表のどの基準に該当するかを医師が診断書に記載し、自治体が審査します。 ご自身の病気がどのような身体機能に影響を与えているかを正確に把握し、担当医と十分に相談することが不可欠です。

精神障害者保健福祉手帳の認定基準は精神疾患の症状で判断される

精神障害者保健福祉手帳の認定基準は、精神疾患によって日常生活や社会生活にどの程度の支障が生じているかで判断されます。 具体的な精神疾患の診断名だけでなく、その症状が持続し、日常生活能力(身辺処理、食事、着替え、清潔保持など)や社会生活能力(対人関係、通勤・通学、金銭管理、服薬管理など)にどの程度の影響を与えているかが重視されます。 難病の症状が直接的または間接的に、うつ病、不安障害、睡眠障害、疼痛による精神的な苦痛など、精神的な機能障害を引き起こしている場合、この手帳の対象となる可能性があります。 医師の診断書には、精神症状の種類、経過、重症度、そして日常生活における支障の具体例を詳しく記載してもらうことが、認定に繋がる重要な要素となります。

認定に向けた具体的な準備は何が必要か?

医師意見書診断名と症状の程度を正確に記載

障害者手帳の申請において、医師の 診断書(意見書) は最も重要な書類の一つです。 この意見書には、あなたの診断名、病状の経過、現在の症状の具体的な程度、治療内容、そしてその症状が身体機能や精神機能に与える影響が客観的に記載されます。 特に難病の場合、病状の進行度合いや変動性、合併症の有無なども詳細に伝えることで、より正確な評価に繋がります。 医師には、日常生活での困難さや、今後予測される病状の変化についても具体的に記載してもらうよう依頼し、医師の専門的な視点から、あなたの抱える障害の程度を明確に示してもらうことが不可欠です。

日常生活の支障を具体的に記録し伝える

医師の意見書が客観的な医学的評価であるのに対し、あなたの日常生活における具体的な支障は、認定審査において極めて重要な情報となります。 単に「しんどい」「できない」と伝えるだけでなく、「朝、ベッドから起き上がるのに30分かかる」「食事の準備に1時間以上を要し、途中で休憩が必要になる」「公共交通機関を利用すると、途中で立っていられなくなり、座席を譲ってもらう必要がある」といった具体的なエピソードを日頃から記録しておくことが有効です。 これらの具体的な記述は、審査員があなたの生活状況をより深く理解し、手帳の必要性を判断する上で説得力のある根拠となります。

申請に必要な書類は早めに揃える

障害者手帳の申請には、医師の意見書以外にも、住民票や戸籍謄本、顔写真など、さまざまな書類が必要となります。 これらの書類は、準備に時間がかかるものもあるため、申請を検討し始めたら早めに市区町村の窓口で必要書類の一覧を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。 特に、医師の意見書の作成には数週間を要する場合があるため、時間に余裕を持って依頼するようにしましょう。 また、申請する手帳の種類によって必要書類が異なる場合もあるため、事前に正確な情報を入手しておくことがスムーズな申請に繋がります。

認定調査では現状を正直に話す

自治体によっては、医師の意見書や申請書類の内容に加え、申請者本人との面談形式による認定調査が行われることがあります。 この調査では、あなたの日常生活の状況、困っていること、できることとできないことなどについて詳しく尋ねられます。 この際、自分の症状や困難さを過小評価したり、無理をして「できる」と答えてしまったりすると、適切な評価を受けられない可能性があります。 面談では、日頃感じている苦痛や困難を、具体的なエピソードを交えながら正直に、ありのままに伝えることが大切です。 特に、体調の波がある場合は、体調が悪い時の状況を中心に話すことで、より実態に近い評価に繋がります。

まとめ

難病を抱えながらの生活は、多くの不安や困難を伴いますが、障害者手帳は、その困難を軽減し、より安心して生活するための重要な支援ツールとなり得ます。 難病だからと諦めることなく、ご自身の病状が身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかの認定基準に該当する可能性を探ることが大切です。 そのためには、ご自身の具体的な症状が、身体機能や精神機能にどのような影響を与えているかを正確に把握し、医師に正確に伝達することが重要です。 なお、障害年金の申請と障害者手帳の申請は、それぞれ別の制度ですが、医師に作成を依頼する診断書や病歴に関する書類には共通する部分があります。 もし、障害年金の申請と合わせて手帳の申請も検討しており、書類作成や手続きに不安がある場合は、社会保険労務士のような専門家に相談することで、両方の制度について適切なアドバイスやサポートを受けることが可能です。この情報が、あなたの生活を支える一助となり、より豊かな日々を送るための第一歩となることを願っています。

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