障害者雇用と障害年金連携で企業と従業員双方にメリットをもたらす方法
障害者雇用を検討する企業の人事担当者にとって、「障害年金」の受給者が採用対象となる場合、年金との連携や法的な手続きについて疑問を持つことは少なくありません。
今回は、障害年金受給者の方の雇用に関わる制度と、企業側が円滑に進めるためのポイントを解説します。
障害者雇用と障害年金の連携について
障害年金と就労の関係性
障害年金は、障害によって労働能力が低下した方を経済的に支援する制度です。しかし、障害年金の受給と就労は両立が可能であり、矛盾するものではありません。
- 就労による支給額への影響:
- 20歳前障害基礎年金には所得制限があるため、収入が増加すると支給が停止される可能性があります。
- それ以外の障害基礎年金や障害厚生年金には、原則として所得制限はありません。
重要なのは、制度が就労意欲を阻害することなく、経済的な安定と社会参加を両立できるよう設計されている点です。雇用側も、この点を理解し、障害年金受給者の方の雇用を積極的に検討することが求められます。
障害者雇用における障害年金連携のメリット
企業にとって、障害年金受給者を雇用することは多くのメリットがあります。
- 多様な雇用形態の選択: 個々の従業員の状況に応じて、時短勤務やフレックスタイムなどの柔軟な雇用形態を選択できるため、企業のニーズに合わせた働き方を提供しやすいです。
- 助成金制度の活用: 国や自治体による助成金制度(特定求職者雇用開発助成金など)の活用により、雇用にかかるコストを軽減できる可能性があります。
- 企業イメージの向上: 企業の社会貢献に繋がり、企業イメージの向上にも寄与します。
障害者雇用と障害年金連携の法的根拠
障害者雇用は障害者雇用促進法に基づき、障害年金は国民年金法および厚生年金保険法に基づく制度です。これらの法律は、互いに矛盾するものではなく、障害者の方々が自立した生活を送ることができるよう連携して機能しています。企業はこれらの法律を理解し、適切な合理的配慮を提供することが義務付けられています。

障害年金の種類別・雇用形態別の年金支給額への影響
年金の種類別の影響と注意点(所得制限の有無)
障害年金の種類によって、就労による年金支給額への影響が大きく異なります。
| 年金の種類 | 所得制限の有無 | 支給額への影響 |
| 20歳前障害基礎年金 | あり(本人の所得のみで判定) | 所得が増加すると、支給が一部または全額停止される可能性がある。 |
| その他の障害基礎年金 | 原則なし | 収入増加による年金支給額への影響は原則ない。 |
| 障害厚生年金 | 原則なし | 収入増加による年金支給額への影響は原則ない。 |
- 注意点: 支給額への影響は個人の年金加入履歴や障害等級、所得状況によって異なるため、従業員ご本人が年金事務所へ相談することが不可欠です。
正社員・パート雇用と年金支給額への影響
正社員・パート/アルバイトといった雇用形態にかかわらず、年金支給額への影響は「収入(所得)額」によって判断されます。
- 企業側の役割: 収入増加に伴い、従業員が年金支給停止のリスクを抱える可能性がある場合、企業としては従業員の状況を把握し(本人が開示した場合)、社会保険労務士などの専門家へ相談を促すことが重要です。

障害者雇用と障害年金連携の手続きにおける企業の役割
受給状況の把握とプライバシー保護
障害年金の受給は個人のプライバシー情報であり、企業に自動的に通知されることはありません。採用時に企業側が年金に関する書類の提出を求める法的義務はありません。
- 企業が取るべき対応:
- 受給の有無を把握していないまま雇用することは一般的であり、問題ありません。
- 受給の有無に関わらず、障害者手帳に基づき、合理的配慮を適切に提供することが重要です。
勤務証明書の発行体制の整備
就労によって収入が増加・変動した場合、受給者本人が年金事務所に報告する際、勤務証明書や給与明細などの提出を企業に依頼してくることがあります。
- 企業側の準備: 企業としては、従業員本人からの依頼があった場合に、必要な書類を迅速かつ適切に発行できる体制を整えておくことが望まれます。
企業人事担当者向け連携のポイント
企業人事担当者は、障害者雇用と障害年金連携について、正確な知識を持つことが重要です。
- 専門家との連携: 従業員への配慮や適切な手続きのため、社会保険労務士や障害者就業・生活支援センターなどの専門家との連携を積極的に行う。
- 柔軟な対応: 従業員の状況を把握し、必要に応じて柔軟な勤務調整や業務配分を行う。
まとめ
今回は、障害者雇用と障害年金の連携について、年金支給額への影響や企業が取るべき手続きなどを解説しました。
障害年金受給者の方の雇用は、適切な手続きと深い理解に基づいて進めることが重要です。
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