障害基礎年金と所得制限額早わかり解説

障害基礎年金は、病気やけがなどで日常生活や就労に制限が生じた人が、生活の安定を保てるように設けられた制度です。国民年金に加入している人が対象であり、障害の程度が一定の基準を満たすと支給を受けることができます。
ただし、この制度には「所得制限」というルールがあります。これは、一定以上の所得がある場合に支給が一部または全額停止される仕組みで、特に20歳前に発症した病気や障害による「20歳前障害基礎年金」に適用されます。所得制限を理解していないと、急に支給が止まったり減額されたりするケースもあるため、正確な知識が欠かせません。
本記事では、障害基礎年金の仕組みとともに、所得制限の対象者・基準額・支給停止や再開の流れなどを最新の基準に基づいてわかりやすく解説します。

障害基礎年金の仕組みと所得制限の実際

障害基礎年金とは

障害基礎年金は、国民年金制度に基づく公的年金の一種で、病気やけがによって「障害等級1級または2級」に認定された場合に支給されます。年金額は国が毎年改定しており、以下は2024年度(令和6年度)の基準額です。

2級: 年額816,000円(月額約68,000円)
1級: その1.25倍にあたる年額1,020,000円(月額約85,000円)

また、18歳未満の子どもを扶養している場合には「子の加算」があり、第1子・第2子にはそれぞれ年間234,800円、第3子以降は78,300円が加算されます。つまり、家族を養っている障害者世帯ほど、生活を支えるための給付が厚く設計されています。
障害基礎年金の対象は20歳以上65歳未満の国民年金加入者であり、一定期間の保険料納付要件を満たす必要があります。これに該当しない場合、障害が重くても支給が認められないことがあるため注意が必要です。

所得制限が設けられている理由と対象者

障害基礎年金のうち、「20歳前傷病による障害基礎年金」には所得制限が設けられています。これは、20歳になる前に発症した病気や障害によって20歳以降も働くことが難しい人を支援するための年金であり、本人の努力に関わらず生じた障害が対象です。
一方、20歳以降に初診日がある**「通常の障害基礎年金」や、厚生年金に加入していた人の「障害厚生年金」には、原則として所得制限はありません**。あくまで所得制限がかかるのは、20歳前に発症したケースのみです。
所得制限の目的は、公平な支給を行うために、一定以上の所得がある場合は公的給付を調整する点にあります。これは「生活の維持が困難な人を優先的に支援する」という社会保障の考え方に基づいています。

所得制限の具体的な基準額(2024年度基準)

所得制限の基準は年度ごとに改定されますが、以下は2024年度(令和6年度)の本人所得に基づいて判定される基準です。

年金の2分の1が停止される基準: 前年の本人所得が376万円1,000円を超える場合
年金が全額停止される基準: 前年の本人所得が479万円4,000円を超える場合

さらに、扶養親族がいる場合は、その人数に応じて基準額に加算が行われます。

扶養親族の種類・・・加算額(1人につき)

一般扶養親族・・・38万円
老人控除対象配偶者・老人扶養親族・・・48万円
19歳未満の控除対象扶養親族・・・63万円

たとえば、扶養家族が2人(一般扶養1人と19歳未満の子ども1人)の場合、加算額は38万円+63万円=101万円となり、2分の1停止の基準は376万1,000円+101万円=477万1,000円が目安となります。
このように、所得制限は「一律ではなく、家族構成に応じて基準額が調整される制度」であることがポイントです。

支給停止と再開のタイミング

所得制限の判定は、前年(1月1日~12月31日)の所得を基準に行われます。
そして、その所得判定に基づいて、その年の10月分から翌年9月分までの年金支給額が決定されます。たとえば、2024年中の所得をもとに、2025年10月分から2026年9月分までの支給額が決定されます。
所得制限に該当した場合、年金は翌年度の10月分から1年間、全額または半額が停止されます。その後、所得が減少して制限基準を下回れば、再び支給が再開されます。この「支給停止」や「再開」は、受給者が毎年提出する「所得状況届」に基づいて判定されます。
この届け出を忘れると、実際には所得が少なくても支給が止まってしまうことがあるため、年金機構から届く案内書類を必ず確認し、期日内に提出することが非常に重要です。

判定方法と誤解されやすいポイント

障害基礎年金の所得制限は、本人の所得のみを対象に判定されます。世帯全体の収入を合算して判断するわけではありません。扶養親族の人数によって基準額が上乗せされるため、結果的に家族構成が反映される形となりますが、他の家族の収入が直接影響するわけではない点に注意が必要です。
また、所得の対象には給与所得だけでなく、事業所得・不動産所得・年金所得なども含まれます。逆に、障害年金そのものは所得には含まれません。もしアルバイトやパート収入が増えた場合、その年の所得が翌年度の支給に影響する可能性があるため、働き方を変えるときには翌年の影響を見越しておくことが大切です。
所得制限に該当した場合でも、年金が完全に打ち切られるわけではありません。2分の1停止や全額停止といった調整が行われ、翌年度に再び所得が減少すれば支給が再開されます。重要なのは、「制度に基づいた一時的な調整」であるという点です。

まとめ

障害基礎年金は、生活の安定を支えるための大切な制度です。その中でも、20歳前に発症した障害を対象とする「20歳前障害基礎年金」には所得制限が設けられています。
2024年度の基準では、前年の所得が376万1,000円を超えると半額停止、479万4,000円を超えると全額停止となり、扶養親族の人数によって基準額が加算されます。判定期間は前年の所得をもとに、その年の10月分から翌年9月分までの支給に影響します。
この制度の要点は、所得が増えてもただちに打ち切りになるわけではないこと、そして正しい申告を続ければ再開の可能性があることです。毎年の所得状況届を忘れずに提出し、自分の所得や家族構成の変化を正しく伝えることで、安心して年金を受け続けることができます。
障害年金に関する所得制限やその他の複雑な手続きについてご不安がある場合は、専門家である湘南・藤沢障害年金サポートにお任せください。無料相談をご活用いただき、制度の仕組みを理解し、適切な申請・報告を行うことで、長期的な生活の安定につなげていきましょう。

ご相談のご予約
045–226–5484

受付時間:平日9:00~18:00