障害者年金の受給年齢と支給額の関係~申請時期も解説~
病気やけがによって日常生活や仕事に制限が生じたとき、経済的な支えとなるのが「障害年金」です。 老齢年金や遺族年金と並ぶ公的年金の一つで、障害の程度や加入状況によって給付内容が異なります。
しかし、「何歳から受け取れるのか」「いくら支給されるのか」「申請が遅れるとどうなるのか」といった点は、誤解が多いテーマでもあります。
この記事では、障害年金の受給年齢・支給額・申請時期の関係をわかりやすく整理します。これから申請を検討している方にとって、確実に支給を受けるための判断材料となる内容です。
障害年金の受給年齢と制度の仕組み
障害年金の種類と対象者
障害年金は、国民年金や厚生年金の被保険者が、病気やけがにより一定の障害状態になったときに支給される公的年金です。主に次の2種類があります。
- 障害基礎年金: 国民年金加入者が対象(自営業・学生・専業主婦など)。障害等級1級または2級で支給。
- 障害厚生年金: 厚生年金加入者が対象(会社員・公務員など)。障害等級1〜3級が支給対象。
さらに、3級よりも軽度の障害に該当する場合、「障害手当金」という一時金が支給されることもあります。
障害年金を受け取るには、「初診日」が特定できることが必要です。初診日とは、障害の原因となる病気やけがで初めて医師の診察を受けた日を指します。初診日から1年6か月が経過した時点、または症状が固定した時点が「障害認定日」となり、このときの障害状態が支給の基準になります。
受給できる年齢と請求のタイミング
障害年金を受け取れるのは、原則として20歳以上65歳未満です。 20歳未満で発症した場合でも、20歳に達した時点で請求できる「20歳前障害基礎年金」があり、この制度のみ所得制限がある点に注意が必要です。
請求期限は、65歳の誕生日の前日までが原則です。これを過ぎると、国民年金(障害基礎年金)の請求は原則できません。 ただし、厚生年金加入者の「障害厚生年金」は、初診日が65歳より前であれば、65歳以降でも請求可能**なケースがあります。
老齢年金との関係(併給ルール)
65歳を迎えたあとは、老齢基礎年金と障害基礎年金の両方を同時に受け取ることはできません。どちらか一方を選択する「選択制」となっています。 一方で、障害厚生年金と老齢厚生年金は調整のうえで一部併給が可能です。
つまり、65歳以降は「どの年金を選ぶか」で受給額が変わるため、年金事務所や社会保険労務士に相談し、自分にとって有利な選択を確認することが重要です。

支給額と申請時期のポイント
障害等級ごとの支給額(2024年度・令和6年度基準)
年金額は毎年改定されます。以下は2024年度(令和6年度)における障害基礎年金の年金額です。1級は2級の1.25倍と定められています。
- 1級: 年額1,020,000円(月額約85,000円)
- 2級: 年額816,000円(月額約68,000円)
障害厚生年金にはこれに加えて、「報酬比例部分」が上乗せされます。これは、加入期間中の平均標準報酬額と勤務期間に応じて算出され、長く働き、給与が高い人ほど受給額が多くなります。
また、18歳未満(または20歳未満の障害児)の子どもがいる場合には「子の加算」がつきます。第1・第2子に年額234,800円、第3子以降に年額78,300円が加算され、扶養家族の多い人を支える設計になっています。
申請方法と支給開始時期
障害年金の申請方法には3つあり、それぞれ支給開始時期が異なります。
- 認定日請求: 障害認定日の時点で障害等級に該当している場合に行う申請で、障害認定日の翌月分から支給されます。
- 遡及請求: 認定日から時間が経ってから申請する場合で、時効により最大で過去5年分までさかのぼって受け取ることが可能です。ただし、当時の障害状態を示す診断書やカルテが必要です。
- 事後重症請求: 認定日時点では障害等級に該当しなかったが、その後悪化して申請する場合です。この場合、請求月の翌月から支給が始まります。
この「翌月支給の原則」により、たとえ1日請求が遅れても、支給開始が1か月後ろ倒しになることがあります。たとえば1月31日に請求する場合と2月1日に請求する場合では、1か月分の支給差が生じることもあるため、申請タイミングには細心の注意が必要です。
審査期間と支給までの流れ
申請してから実際に年金が支給されるまでには、通常3〜5か月程度かかります。 年金事務所で受付された後、障害状態や保険料納付状況の審査が行われ、支給が決定すると「年金証書」と「決定通知書」が送付されます。
初回の振り込みは、支給決定後1〜2か月以内が一般的で、申請から受給開始までの全体期間は4〜6か月ほど見ておくと安心です。診断書や初診日証明書に不備があると手続きが遅れるため、医療機関と早めに連携して書類を整えることが大切です。

まとめ
障害年金は、病気やけがによって生活や就労に制約を受ける人の経済的基盤を支える重要な制度です。 受給対象は原則20歳以上65歳未満であり、支給額は障害等級と加入実績によって変わります。
申請は、請求タイミングが1日遅れるだけで支給が後ろ倒しになることもあり、遡及請求も最大5年という時効があります。つまり、「早めの準備」と「正確な申請」が支給を確実に受けるためのカギになります。
また、65歳以降は老齢年金との関係で併給制限があるため、自分に有利な年金を選択することも重要です。
障害年金は、知識と行動次第であなたと家族の生活を大きく支える制度です。複雑な申請手続きや、ご自身の状況に合った選択についてお悩みでしたら、専門家である湘南・藤沢障害年金サポートにご相談ください。無料相談をご活用いただき、正しい情報をもとに、安心して将来を見据えた申請を進めていきましょう。


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