うつ病で休職?障害年金と失業保険の併給とは?

うつ病で休職、退職を余儀なくされた従業員への対応に、人事労務担当者は頭を悩ませているのではないでしょうか。
特に、失業保険と障害年金の併給に関する知識は、適切なサポートを提供するために不可欠です。
今回は、うつ病、障害年金、失業保険に関する情報を整理し、企業における対応についても解説します。
制度の概要から併給可能性、申請手続き、注意点まで、平易な言葉で説明します。

失業保険と障害年金の概要

失業保険の受給要件

失業保険、正式には雇用保険の基本手当は、離職後、再就職活動中に生活を支えるための給付です。
受給には、一定期間の雇用保険加入、離職理由、求職活動の積極性などが条件となります。
自己都合退職の場合、給付開始前に待機期間が設けられることが一般的です。
うつ病による退職の場合も自己都合に該当するケースが多いですが、医師の診断書などを提出することで、給付制限期間が短縮される可能性があります。
「特定理由離職者」や「就職困難者」として認定されると、給付制限期間が免除される場合もあります。
雇用保険の加入期間も受給期間に影響します。

失業保険の給付期間と金額

給付期間は、年齢や雇用保険の被保険者期間によって異なります。
一般的には、最長300日です。
給付金額は、離職前の賃金に基づき算出されます。
具体的には、離職前6ヶ月の賃金合計を180で割って賃金日額を求め、それに給付率(年齢や賃金によって変動)を乗じて算出されます。

障害年金の概要

障害年金は、病気やケガによって障害の状態となり、日常生活や就労に支障が生じた場合に支給される年金です。
国民年金と厚生年金の加入状況によって、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、障害の程度に応じて1級から3級までの等級が設定されています。
等級が高いほど支給額が高くなります。
うつ病などの精神疾患も対象となりますが、症状の程度や労働能力への影響が審査の重要な要素となります。

障害年金の受給要件

受給要件には、初診日要件(障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日)、障害状態要件(日常生活や就労への支障の程度)、保険料納付要件(一定期間以上の保険料納付)があります。
初診日には、国民年金または厚生年金の加入が必須です。
障害状態要件は、医師の診断書などによって判断されます。

失業保険の併給可能性

併給の可否

失業保険と障害年金は、原則として併給可能です。
両制度は、受給条件や目的が異なるため、併給調整の規定がありません。
しかし、失業保険の受給には「働く意思と能力があること」が条件となるため、障害の程度によっては受給が難しい場合があります。

うつ病と労働能力の評価

うつ病による労働能力の評価は、医師の診断書や、日常生活や就労における具体的な支障の内容に基づいて行われます。
症状の程度、治療状況、回復の見込みなどが総合的に判断されます。
軽度であれば、パートタイムでの就労が可能と判断されるケースもあり、その場合は失業保険の受給も認められる可能性があります。
しかし、重度で就労が困難な場合は、障害年金を受給できる可能性が高く、失業保険の受給は難しいでしょう。

うつ病で失業保険と障害年金、どちらを先に申請すべき?

うつ病などで退職された場合、「失業保険(雇用保険の基本手当)」と「障害年金」のどちらを先に申請すべきか悩まれる方が多くいらっしゃいます。
この2つの制度は性質が異なり、原則として併給(同時に受け取る)も可能ですが、申請の順番や方法によって支給の可否や審査への影響が出る可能性があります。
以下に、それぞれの申請を優先すべきケースをご紹介します。

【失業保険を先に申請すべきケース】

・症状が比較的軽く、すぐに就職を目指して活動できる状態である

・医師の診断書にも「就労可能」との記載がある

・ハローワークで「求職の申込み」を行い、就労の意思と能力を示せる場合

→このような場合は、まず失業保険の給付(基本手当)を受けながら就職活動を進め、必要に応じて障害年金の請求を検討することが考えられます。

【障害年金を先に申請すべきケース】

・症状が重く、現在の状態では働くことが困難である

・医師からも「就労は難しい」と判断されている

・就職活動を行うことが現実的ではない

→この場合は、先に障害年金の請求を行い、精神的・経済的な安定を得た上で、将来的に状態が改善すれば失業保険の受給を検討する方法が望ましいでしょう。

【判断が難しい場合は?】

まずは主治医と相談し、現在の就労可能性について医学的な見解を確認しましょう。
また、ハローワークや年金事務所、または社労士などの専門家にご相談いただくことで、より適切な判断が可能になります。

※当記事は一般的な考え方を示したものであり、実際の申請にあたってはご本人の健康状態や生活状況により異なる判断が必要となる場合があります。

申請手続きと必要な書類

失業保険の申請は、ハローワークで行います。
必要な書類は、雇用保険被保険者離職票、本人確認書類、写真、診断書などです。
障害年金の申請は、年金事務所で行います。
必要な書類は、申請書、医師の診断書、年金手帳などです。
それぞれの申請において、正確な情報と必要な書類を準備することが重要です。

注意点とよくある質問

失業保険と障害年金の併給においては、労働能力の程度が重要な判断材料となります。
医師の診断書の内容を正確に理解し、ハローワークや年金事務所に相談することが重要です。
また、申請手続きには期限があるため、注意が必要です。

企業における対応と従業員サポート

従業員の相談窓口の設置

従業員が安心して相談できる窓口を設置することが重要です。
相談内容は、病気に関することだけでなく、仕事や生活上の問題も含まれます。
専門機関への相談支援なども行うべきです。

適切な休職・復職支援制度の整備

休職制度、復職支援制度を整備し、従業員が安心して休職、復職できる環境を作る必要があります。
個々の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

人事労務担当者の知識習得

人事労務担当者は、失業保険、障害年金、その他の社会保障制度に関する知識を習得しておく必要があります。
専門家への相談なども有効です。

関連法規の理解と遵守

関連法規を理解し、法令を遵守した対応をすることが重要です。
従業員のプライバシー保護にも配慮する必要があります。

まとめ

今回は、うつ病、障害年金、失業保険に関する情報を網羅的に解説しました。
失業保険と障害年金は併給可能ですが、労働能力の程度が重要な判断材料となります。
人事労務担当者は、従業員への適切なサポートを行うために、これらの制度に関する知識を深め、関連法規を遵守した上で、個々の状況に応じた柔軟な対応を心がけることが重要です。
従業員への相談窓口の設置、休職・復職支援制度の整備、人事労務担当者の知識習得、関連法規の理解と遵守は、企業における重要な取り組みです。
うつ病で休職・退職を検討する従業員への対応は、企業の社会的責任でもあります。
適切な対応が、従業員の早期回復と社会復帰を支援することにつながります。
これらの制度を正しく理解し、従業員をサポートすることで、企業の信頼度向上にも寄与するでしょう。

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